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番外編彼も地竜さんも子煩悩

「タブレットふまれたら大変だよ」 めぐみちゃんがバックを拾いあげた。 「ありがとうめぐみちゃん」 今年度からK市内の小学生と中学生全員に学習者用タブレット端末(Wi-Fi型iPad)が貸与され週末に持って帰ってくるようになった。金曜日は運動着と給食当番の時は給食袋を持って帰ってくるからとにかく荷物が多い。ランドセルだって教科書とかがぎゅうぎゅう詰めで重いはずなのに一太は嫌な顔せず笑顔で奈梛ちゃんに今日のおやつ何だろうね。楽しみだねと話し掛けていた。 「奈梛ちゃん、一太お兄ちゃん大変だからおいで」 ヤスさんが手を差し出すと、 「やだ!」 一太の肩にしがみつきぶんぶんと首を振った。 「ヤスさん、僕は大丈夫です。毎日たいくんとここちゃん抱っこしているので。なやちゃん、宿題が終わるまで待ってられる?」 つぶらな瞳でじっと一太を見つめる奈梛ちゃん。 「終わったらいっぱいあそぼ」 「うん」奈梛ちゃんが大きく頷いた。 「一太は相変わらずモテモテだな」 「そんなことないです。なやちゃん行こう」 コアラみたく一太にしがみつく奈梛ちゃん。鳥飼さんとフーさんの愛情をたっぷり受けてスクスクと成長している。ここに来たばかりの頃は笑わず泣かず子どもらしい表情がなかった。それが今や愛くるしい笑顔を振り撒き表情豊かになった。子どもらしくなった。

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