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番外編紫竜さん

「オレイク」 「ウー危ないからここにいろ」 【俺に用があるんだろ?俺はメンバーの顔も合言葉も知っている】 「それはまぁ、そうだが……」 心配する柚原さんに、ウーさんはシャツを捲り防弾チョッキを見せた。 「分かったよそこまで言うなら。一緒に行こう」 体格の立派な、見るからに頼もしそうな偉丈夫なと、小柄ではあるが一体にがっしりとした体つきの男がウーさんを待っていた。二人とも眼光が鋭くあたりをキョロキョロと見てかなり警戒している様子だった。 ウーさんはひとつため息をつくと「シロタエ」と男たちに声を掛けた。 「ユキ チハヤブル ウヂ」 男性たちの声が見事にハモった。 「俺の元仲間だ。彼らこそ紫竜の懐刀の男を取り押さえた男たちだ。感動の再会をしなくていいのか?」 ウーさんが首を横に振った。 結婚祝いをまだ渡していなかったからとウーさんに祝儀袋を渡す男性たち。 ボスは言葉足らずだ。日本にいる伴侶と一緒になるために組織を止めたとしかボスは言わない。肝心なことは何一つ言わない。黄《ファン》とお前。幸せそうな顔を見て安堵した。柚原さんが同時通訳してくれた。 小柄な男性は信者のフリをして一年前からシェドの教団本部に潜入していた。そこで掴んだある情報をウーさんに伝えた。 それともう一つ、ハツさんと義夫さんの娘と思われる女性に関しての情報だった。

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