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番外編 助っ人に現れたのは
優璃と姐さんと子どもたちは俺たちで守らないといけない。屋敷には一歩たりとも踏み入れさせない。
柚原さんは覚悟を決めた。相手が刃物と拳銃を所持している可能性があったとしても丸腰で芫さんに飛び掛かり起爆装置を奪うしかない。
行動に移そうとしたまさにそのときだった。
「ぱぱたんがいなかったら寂しくなるだろ。俺一人で十分だ」
目の前の門がゆっくり開いてここにいないはずの人物が姿を現したものだから柚原さんも若い衆たちも驚いた。
「兄弟喧嘩は犬も食わぬとよく言うだろ?利害関係が一致せず仲違いしたか?それとも一生表には出ずシェドのスペアのまま生きるのが嫌になったか?どっちだ?」
現れたのは覃さんだった。
「何で貴様がここにいるんだ」
「バウンティ何とかとさっき言ってなかったか?呼ばれたから来てやったんだ。探す手間が省けただろう。俺ってなんて優しいんだ」
「ふざけるな!」
「まぁまぁそうツンツンするな。俺とお前の仲だろ?弓削を楽しそうにいたぶっていたときの元気はどこにいった?犬は犬らしくしおらしくなったか?」
「黙って聞いていれば五月蝿い。誉、イカれたコイツらの頭をぶち抜け」
「電柱に隠れていたヤツなら俺の顔を見るなり尻尾をまいて逃げだぞ。可哀相に。蜜月関係は呆気なかったな」
覃さんが片方の手をポケットに入れ、芫さんを睨み付けながら大股で近付いていった。芫さんは鬼の形相の覃さんに気圧され思わず後退りした。
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