3192 / 3632

番外編 守りたい命

「鞠家は明日でしょ?帰宅」 「紗智さんと未知さんが心配で、今すぐ帰るの一点張りで、裕貴さんらに宋さんが鞠家さんの代理をしているから心配ない、まずは落ち着けと、説得されたみたいです。黒竜が駅で待ち伏せをしている可能性もなきしもあらずですから。これ以上一般市民に被害が及ぶことだけなんとしてでも避けなければなりません」 「オヤジが不在だ。紫竜がどんな手を使ってくるか分からない。何がなんでも未知さんとナオさんと子どもたちを守れ」 度会さんが留守を預かる若い衆に指示を飛ばし、物々しい雰囲気が漂っていた。 根岸さんからつきさっき連絡があって、四季さんと、和真さんのお姉さんの結さん、二人とも無事であることが伝えられた。 根岸さんから目立つ行動は控えろ。なるべくそこから動くなと言われたヤスさん。四季さんをそれこそ実の娘のように可愛がっているヤスさんのことだから間違いなく暴走するのが安易に予想することが出来たんだと思う。 夕方七時過ぎ、ドーンと大きな音がして外を見ると、バンと上空で花火が開いていた。 「ママ、どっかで花火大会があるの⁉」 一太に声を掛けられた。 「う~~ん、どうだろ。カルチャーパークの方角だよね。ママ分からないから紫さんに聞いて来るね」 「一太が行ってくるからいいよ。ここちゃんがスプーンをおとしたら洗ってくる」 一太が台所へ駆けていった。 あさかの花火大会は毎年八月にカルチャーパ―クで開催される。もし直売所でイベントがあるなら石井さんや安川さんが教えてくれるはず。

ともだちにシェアしよう!