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番外編守りたい命

「花火大会でも地区のお祭りでもないみたいですよ」 「ということは……つまり……」 考えられるのは駐車場で何かが起きたということだ。 「本日の営業は六時には終了しているみたいですが、アリーナを利用しているひとがいるかも知れません。鍋山さんと佐治さんに頼み偵察に行ってもらいました。譲治さんの面倒はヤスさんがみてますから大丈夫です」 「良かった。鍋山さんの姿が見えないだけで譲治さん不安になってパニックになるから」 「ヤスさんも口ではああだこうだ、面倒くさいと言いながらも部屋住みの若い衆たちの面倒をみてくれてますからね」 「それに組事務所の電話番の若い子たちを飲みに連れていったり、ご飯を差し入れたり、なんだかんだいいながら面倒をみてくれています。だから譲治さんもすぐにヤスさんに懐いたのかも知れません」 「そうですね」 「覃さん、せっかく譲治さんに会えたのに一人占め出来ないと、焼きもちを妬いてませんかね?」 「たまにはいいんじゃないんですか。たまにはね」 橘さんが何かを思い出したのかププッと笑った。 「オヤジお帰りなさい」整然と一列に並び腰を九の字に曲げ、彼と地竜さんを出迎える度会さんと幹部のみなさんと若い衆たち。 「二人ともたいした怪我じゃなくて良かった。しかしまぁ、紫竜と互角に渡り合うなど。肝が冷えたぞ」 着流しを粋に着こなした度会さんがほっとして胸を撫で下ろした。

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