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番外編守りたい命
すっと戸が開いて、
「ただいま未知」
彼が顔を出した。
「お帰りなさい。ごめんなさい。こんな格好で」
慌ててはだけた胸元を直した。
「謝ることはない。俺の方こそ一日中留守にして悪かった。地竜と一緒に風呂に入ってくる。この手じゃ未知と陽葵を抱っこできないからな。陽葵は俺が寝かし付けるから少し待ってろ」
「ありがとう遥琉さん」
「いいってことよ。俺も地竜も斉木も怪我はたいしたことないから。ごめんな、色々と心配を掛けて」
「あのね、遥琉さん」
「ん?どうした?」
「やっぱりいい」
ハツさんと義夫さんのことを聞きたかったけど、怖くて聞く勇気が出なかった。
「黙っていても追い追い分かることだし、それに隠し事はしないと約束したから、明日にでも順を追って説明する。それでいいか?」
彼は何でもお見通しだった。僕が何を考えているかなんて赤子の手をひねるより簡単なんだろうな。
「これがあったから命拾いしたのかも知れないな」
守り袋と腕輪を大事そうに握る地竜さん。
「なにがなんでも未知や子どもたちのところに帰りたい。その一心だった。紫竜とは何度も対峙しているが今日だけ何故か、不思議と怖いとは感じなかった。未知、ありがとう。きみのお陰だ」
「僕はなにもしていません」
地竜さんの背中のほうに立ち、肩に包帯をぐるぐると巻きながら首を横に振った。会わないうちにまた傷が増えた。身体中、あちこち傷だらけだ。
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