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番外編男の約束

「ママ、にいに、はやいよ」 「スゴイ!いちばんだ!」 折り返し地点をまわりゴールへ戻ってくるころには一太と地竜さんがトップに躍り出ていた。 「さすがは地竜さんですね。日々可愛い部下たちに鍛えられているだけあって逃げ足だけは早いですからね」 覃さんと宋さんに触らせろ、ハグさせろと追いかけ回されて、死に物狂いで逃げ回っている地竜さん。 「二人ともボスに対する愛情が誰よりも深いですからね」 橘さんと目が合うなりぷぷっとふき出してしまった。 そのまま一位でゴールテープを切る二人。笑顔でハイタッチをすると、奏音くんたちが駆け寄ってきて、新記録だって。すごい。一太のことをみんなで誉めてくれた。 僕はなにもしてもしてないよ。地竜さんのお陰だよ。とでも言ってるのかな?地竜さんが照れて頭を掻いていた。 彼が一太の肩にタオルを掛け、水筒を渡した。地竜さんには500ミリリットルのスポーツ飲料のペットボトルを。 「バグをして見詰め合って。何をしているんですかね。この二人は。これみよがしにまたいちゃこらして。遥琉ラブの信孝さんと裕貴さんに喧嘩を売っているとしか思えないんですけど。そう思ったの私だけですかね」 「橘さんだけじゃありません。遼お兄ちゃんたちのところにこの映像が配信されてなくて良かった」 「配信されてますよ」 「へ?」 「だって、ほら、これから可愛い弟と、息子と甥っ子姪っ子が走るんですよ。それこそ画面にかぶり付いて見てますよ」 遼お兄ちゃんも龍成さんも彼が大好きだ。ということを思いだし、さぁーーっと血の気がひいた。

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