3210 / 3632
番外編コウジさんの後輩
「やくざに関わったらろくなことがない。そろそろ帰ったほうがいいんじゃないか。きみのじいちゃんとばあちゃんが孫がなかなか帰って来ないと心配してるぞ」
「ちゃんと言って来たんでそこは心配無用です。やっぱり菱沼組は九鬼総業とは違う。じいちゃんが言っていた通りだ。ヤスさんとせっかくマブダチになったんです。これからも付き合ってもいいですか?」
「別に構わない」
ヨッシャーと小さくガッツポーズをする過足さん。嬉しくて堪らない。そんな感じだった。
「あ、そうだ。過足、ヤスを好きになるのは一向に構わないが、ヤスには好きな男がいる。それだけは先に言っておく」
「そうですか」
「普通は驚くだろ?」
「そうですか?たまたま好きになった人が同性だっただけで、別にいいんじゃないか。ひとを好きになるのに同性も異性も関係ありません。コウジ先輩から好きなひとが出来たと聞いてオレ、めちゃくちゃ嬉しかったんです。コウジ先輩には誰よりも幸せになってもらいたいんですよ」
「その台詞、コウジに聞かせてやりたかったな。きっと泣いて喜ぶ」
「いやぁ~~照れます」
過足さんが頭を掻いた。
「なんでお前が照れているんだ?なかなか面白い男だな」
彼がクスリと笑った。過足さんはしばらく滞在して、ヤスさんと佐治さんとお茶を飲みながら他愛もない話しに花を咲かせていた。
ともだちにシェアしよう!