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番外編コウジさんの後輩
「んじゃ、そろそろいってみますぅ~。こじはん美味しかったです。ごっつぉさんです」
よっこらしょと立ち上がった過足さんに、
「これ土産」
譲治さんがつかつかと歩み寄り紙袋を差し出した。
「黒糖の蒸しパン。よかったらどうぞって、姐さんから」
「あったけぇ~~。出来立て嬉しいな。ありがとう。えっと………」
譲治さんは脱兎のごとく廊下へ走っていってしまった。
「名前を聞いただけなのに。なんで逃げるかな」
「気にするな。彼は恥ずかしがり屋の照れ屋で、極度の人見知りだ。ちなみに彼の名前は譲治だ。慣れるまで時間がかかると思う。年も近いし友だちになれるかも知れない」
「なれるかも、じゃなくて、友だちになったほうがいい。のちのち絶対役に立つ」
「どういう意味ですか?さっぱり分からないんですが」
首をかしげる過足さん。
「いずれわかるさ」
佐治さんがくすりと笑った。
「そうだ。わすっちゃ」
過足さんが何かを思い出したみたいでパチンと両手を叩いた。
「荷台につけてあるコンテナボックスから玲士さんの荷物をまだ下ろしてなかったんだ。よかった。思い出して」
「それなら駐車場まで一緒に行く」
「いや~~わりごど。姐さんに宜しくない」
ヤスさんと佐治さんが過足さんを見送るついでに玲士さんの荷物を取りに向かった。
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