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番外編福光家の呪い

「ショッピングセンターの一階にあるカフェテリアで女性と一緒にいたところをいきなり撃たれたみたいよ。警察は店内の防犯カメラに写っていた男が事件に関与しているとみて公開捜査に踏み切ったわ」 「一緒にいた女性は大丈夫だったんですか?」 「それがね、ここだけの話し、その女性は礼さんのお姉さんみたいよ」 「もしかしていちばん上のお姉さんですか?佐原さんの奥さんだった方ですか?」 「それが詳しい情報が入ってこないのよ。すでに亡くなった人を悪くは言いたくないけど、佐原さんに対して恨みを抱いている人は大勢いるわ。それまで順風満帆だった人生をめちゃくちゃにされたんだもの。逆恨みされてもおかしくないわ」 「福光さんとは縁を切ったはずです。それなのにまたナオさんに接触しようとしているんですか?ナオさんが受けた心の傷は一生癒えない。古傷をまた抉るようなことをされたら……」 不安で心が落ち着かない。 「未知は優しいね。だからみんなのねえさんが出来るのね」 「ねえさん?」 「ハルくんには言ったけど、今は姐さんとは言わずねえさんと呼ぶみたいよ。甲崎が言ってたから間違いない」 チカちゃんが僕を元気付けようと明るく笑った。 「ナオおはよう、兄さん……」 がらっと戸が開いて吉崎さんが顔を出したから驚いた。 「あれ?未知さんだ。声がそっくりだから間違えた。すまん」 吉崎さんが頭を掻きながら頭を下げた。

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