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番外編福光家の呪い

「ハルくんに対する不変の愛は昔から全然変わってないんだね。良かったね、理解がある伴侶さんで」 「隠し事はしない約束だからナオに最初に話したよ。ドン引きされるかと思ったけどナオは茶化さず最後まで話しを聞いてくれた」 「でも驚いたわ。まさか翔さんがノブくんの下で働いているとわね。国会議員秘書として第一線で活躍していたのに。後悔とかしなかったの?」 チカちゃんの問い掛けに、 「秘書といっても私設秘書だ。同じ福光の家に生まれたのに愛人の子の俺はその存在自体隠され礼の尻拭いばかりさせられてうんざりしていた。ナオは俺を人として扱ってくれる。それにナオの側にいたほうが毎日スリリングで楽しい。ナオのお陰で妻に会えたし、社長にも会えたし、卯月さんにも会えた。未知さんとも会えた。だから後悔は一切していない」 吉崎さんが表情を引き締めてきっぱりとそう言い切った。 生き生きとした明るい表情で答える吉崎さん。 「三番目の姉で間違いない。俺も福光の家とはだいぶ前に縁を切ったから、どこの国に住んでいるか詳しいことまでは知らなかった」 「あくまで推測だが王劉帆が座っていた座席の前後左右にもし彼女が座っていたとして、聞いてはいけないことをたまたま偶然聞いてしまったんじゃないか?だから命を狙われた。礼さんは姉を庇って撃たれた」 「なるほどな」 信孝さんと吉崎さんがそんな会話をしていたら、 「なにもこんな狭いところで井戸端会議をしなくてもいいだろ?俺も話しを聞きたいから広間に行くぞ」 彼がひょっこと現れて信孝さんと吉崎さんを連れて行った。 「ナオを頼んだ」彼の目がそう言ったような気がして廊下を見るとナオさんがへたり込んでいた。 「ナオさん大丈夫?」 すぐに駆け寄り声を掛けたけど反応がなかった。肩を軽く揺すると、 「あれ、なんで僕ここにいるんだろう」 我に返りきょとんとしていた。

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