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番外編福光家の呪い
「あ、そうだ。信孝さんが戻って来なくて心配で探しに行こうとして……何かにつまづいて転びそうになって卯月さんに助けてもらったんだ」
えへへとぎこちなく笑うナオさん。僕らに余計な心配を掛けさせまいとわざと明るく振舞っているようにしか見えなかった。心に受けた傷は一生かかっても癒えることがない。ナオさんはそれだけのことを福光家の人たちにされてきたんだもの。
「無理しないでいいよ」
ナオさんの肩をそっと抱き寄せると堰を切ったかのようにうわぁ~~っと泣き出した。
「そうよ、未知の言うとおりよ。泣きたいとは泣いていいの。無理しちゃ駄目よ」
チカちゃんが僕とナオさん、ふたりいっぺんにぎゅっと抱き締めてくれた。
「一発ぶん殴っても全然足りないわよ。アタシの可愛いナオに何してくれんのよ。絶対に許せない」
語気を強めるチカちゃん。
唇の動きが読めるといえばそうだ、柚原さんがいる。鞠家さんをわざわざ呼ぶわけにもいかないもの。
「柚原さんお願いがあります」
台所を覗くと橘さんと仲良く二人で茶碗を洗っていた。
「優璃じゃなくて俺でいいのか?」
「はい。ちょっと気になることがあって。王さんが来日したとき、実は礼さんのお姉さんも同じ飛行機に乗っていたんです。動画をもう一回見てもらえば分かると思いますが、礼さんのお姉さんは携帯電話で誰かとずっと話しをしていたんです。何を話していたか調べてもらうことは出来ますか?」
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