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番外編福光家の呪い
「あっちはあっちで仲良しこよしで楽しそうだし。こっちはこっちで和気あいあいと楽しそうだし。俺だけ仲間外れみたいですごく嫌なんだが」
地竜さんがむっつりとした表情で台所に入ってきた。
「あのな地竜……」
柚原さんと鞠家さんの声がハモり、同じタイミングで大きなため息をついた。
「地竜さんどうぞ」
椅子から立ち上がろうとしたら、
「未知さんは動かなくていいですよ。私がどけますからどうぞここに座ってください。鞠家さんの隣より未知さんの隣のほうがいいんですものね」
橘さんに止められた。
「追い出すようで悪いな」
「全然悪くありませんよ。たいくんとここちゃんとひまちゃんが起きてないか見て来ようとは思っていたんです。ですからお気になさらずに」
橘さんが椅子から立ち上がり地竜さんに席を譲った。
「怒ってるよな?」
「いちいちそんなことで怒りませんよ」
「嘘だ。目が笑っていない」
「そうですか?気のせいじゃないですか?」
橘さんがにこりと微笑んだ。それを見た瞬間地竜さんが「寒っ、怖っ」全身に冷水を浴びせられたようにゾッとしていた。
「怖い思いをさせて悪かったな」
「俺こそ大人げないことをして悪かった」
「途中から混ざるのは簡単そうに見えてわりかし難しいんだよな。仲間外れにされたという地竜の気持ちも理解できる」
「オヤジたちの話しが盛り上がっていて、どう声を掛けていいか分からなかったんだろう?いつものお前みたくずかずか行けばいいのに」
「言うのは簡単だ。それを行動に移すのが大変なんだ。見ない顔の、知らないヤツがいたし。俺こう見えて人見知りなんだぞ」
「は?嘘だろ?」
柚原さんと鞠家さんの声がまた見事にハモった。
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