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番外編福光家の呪い
「じゃあ聞くがどんな理由だ」
「えっと、その、あの……」
「柚原、あんまりいじめるな。玲士、仲がいいことは大変喜ばしいことだが、子どもたちの前でいちゃつくのは禁止だ。両親の不仲で家族バラバラになり心に傷を抱えている子がいることを決して忘れるな」
「すみません。卯月さんにも同じことを言われてました。浮かれててすっかり忘れていました。以後気を付けます。ですからオヤジには……いや、言ってください。悪いのは俺なんで」
しゅんとして項垂れる玲士さん。それを見た亜優さんが繋いでいないほうの手を広げて柚原さんと鞠家さんに見せた。
「怪我してるじゃないか。転んだのか?」
「なんでそれを早く言わない」
「救急箱を持ってきます」
なんで今日に限って食器棚の一番上の棚に救急箱が置いてあるんだろう。これじゃあ届かない。背伸びをしたらもしかしたら手が届くかも知れないと思ったけど、やっぱりあと数ミリ足りなかった。
「玲士、ぼさっとすんな!」
彼の鋭い声が飛んできて、
「取ってやるから無理すんな」
彼が風のように現れて救急箱を棚から下ろしてくれた。
「散歩をしていたら物陰からいきなり譲治が現れたものだからびっくりしてそれで尻餅をついた」
「譲治さん驚いてパニックを起こしませんでしたか?」
「起こしかけたが蜂谷さんと青空がすぐに気付いて駆け付けてくれたから大事には至らなかった」
「亜優さんも譲治さんも大きな怪我をしなくて良かった」
胸に手をあてて撫で下ろした。
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