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番外編福光家の呪い

「やっぱりな」 「この粗野な野太い声、生活保護を打ち切られ役所に乗り込んで来た男の声によく似てます。その後どうなったか、役所を辞めたので分からないですが、内縁の妻の子どもを虐待したとかで逮捕された。名前は確か……」 携帯を鞠家さんに返し、腕を前で組んで首をかしげる玲士さん。うんうんと唸りながらしばらく考え込んだのち、 「やっぱりもう一回借りてもいいですか?調べたいことがあるんです。スマホを部屋に忘れたみたいで」 「構わない」 鞠家さんから再び携帯を借りると何かを調べはじめた。 「そうだ、思い出した。岩谷誠だ。間違いない」 「岩谷誠だと?」 柚原さんが驚いて思わず身を乗り出した。 「へぇ~~、柚原が橘以外の男に興味があるとは。珍しいな」 「あのな、地竜……」 「冗談だ。本気にするな」 地竜さんがくすりと笑った。 「でも意外な組み合わせだな。深窓のお嬢様とヤクザ。どこでどう知り合いになったんだ?年だってかなり離れている」 「ヤクザといわなきゃバレないよ。昔はやんちゃをしていたヤンキーだったが心を入れ替えて真面目になった。どうとも理由をつけられる。愛さえあれば年の差なんて関係ないとよくいうがようは金づる、ダンベイだ」 「譲治に岩谷兄弟のことを聞くのは酷かな?」 鞠家さんから報告を受けた彼がぽつりと呟いた。 「寸前まで一緒にいたんだ。もしかしたら誠から礼の姉の話しを聞いているかも知れない」 「俺が聞きます」 鍋山さんが息を切らしながら姿を現した。 「今日は休みだろ?日曜日くらいしか子どもと遊べないんだから、日曜日は家族を優先させろっていつも言ってるだろ?」 「譲治が亜優さんを怪我させたって連絡をもらって、本当にすみませんでした」 平蜘蛛のように頭を下げて謝る鍋山さん。

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