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番外編福光家の呪い

「誰だ、お喋りな烏は。たいした怪我をじゃないから鍋山には絶対に言うなって口止めしたはずなのに」 彼がため息をつ額に手をおいた。 「頭をあげてくれ。鍋山、いつも損な役回りばかりですまんな」 「そんなことないです。家族四人路頭に迷わず生活できているのもオヤジのお陰です。譲治を探してきます」 鍋山さんが部屋をあとにした。 「鍋山は真面目過ぎるんだ。たまには息抜きも必要だ。何かサプライズでもしてやるか」 「それいいかも知れない。俺もオヤジと同じことを考えていた」 「そうか。映画館の前売券でもプレゼントしてやろう。一太たちが夏休みに見たい映画があるって言ってたんだ。鍋山の長男は一太と同い年だからもしかしたら一太と同じ映画が見たいかも知れない。たまには遠出するのも悪くないだろう」 鞠家さんが驚いたように目を見開いた。 「たまげることでもあるまい。子どもは宝物だ。うちの子、よその子関係ない。手が空いている人が子どもの面倒をみればいい話しだろ?」 「もしかして何日か前にオヤジが組事務所でおんぶして寝かし付けていた赤ん坊って」 「鍋山の次男だ。長男を病院に連れていくのに赤ん坊がいたら大変だろ?だから置いていけって言ったんだ」 「俺、最初はひまちゃんかと思ってました。でもこんなところにいるわけないし、てっきりオヤジの隠し子かと」 「は?」 彼の目が点になった。

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