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番外編開けてはならないパンドラの箱

「目的は?やはり金か?」 「もちろんそれもあるが、喉から手が出るくらい未知さんの個人情報を欲しがる人間がいて、高額の報酬につられて引き受けた」 「それってもしかして……」 「楮山組、神政会、シェド教団、こころやすらぎ、みかりのみこ、チャイニーズマフィアが一蓮托生した可能性もあるし、福光家の関係者かもしれないし、公安かも知れない」 吉村さんが慣れた手付きで携帯を操作し、メモ紙にペンを走らせた。 「パスワードを変更してマルチウェア対策のソフトウェアを実行し、不審なアプリを削除しました。新しいパスワードを書いておきました。これでしばらく様子を見て下さい」 「ありがとうございます」 吉村さんから携帯を返してもらい、待ち受け画面にしてある子どもたちの写真を眺めていたらマナーモードにしてあった携帯がぶるぶると振動した。 「あねさん、誰からですか?」 「何回も掛かってきている迷惑電話です」 「無視してください。それと斎藤、こそこそ隠れていないで挨拶くらいしたらどうだ?」 吉村さんが後ろを振り返ると、男性がぎょっとして吉村さんの顔をみつめた。 「なんで俺がいるって分かったんだ?」 「心配症で過保護なのは昔からだろ?」 「そうだっけ?」 「そうだよ。斎藤、そんな狭いところで覗いてないで未知さんに挨拶をしたらどうだ?」 戸がすっと開いて白シャツの上に黒のジャケットを羽織った長身の男性が客間に入ってきた。

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