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番外編開けてはならないパンドラの箱

「来ていたならなんで声を掛けてくれなかったんだ?」 彼が客間に入って来た。 「地竜と話しが弾んでいたので、ねえさんの用事を先にしたんです。気が利かなくてすみませんでした」 「いちいち謝らなくていい。未知の携帯はやはり乗っ取られていたのか?」 「はい、そのようです。吉村が対処してくれましたので」 「そうか。吉村ありがとう。助かった。素人にはこういう場合どうしていいか分からないからな」 「こんなのお安い御用です。いつでも呼んでください」 吉村さんが笑顔で答えた。 「斎藤も来ていたのか?せっかくの休みなのにふたりとも悪かったな」 彼が吉村さんの隣に腰を下ろした。 「お茶を持ってきます」 「悪いな。優先生の分も頼む」 「優先生……?」 彼の目が話しを合わせてくれと言っていた。地竜さんは公安と国際警察から追われる身。お尋ね者だ。正体を隠さないといけない。 「吉村さんには交友関係を洗い出すために福光家のみずほさん以外の三姉妹のSNSアカウントをすべて片っ端から調べてくれと頼んだんだ」 コーヒーを人数分お盆に乗せて客間に戻ると地竜さんも話しに混ざっていた。 「日本支部長の海堂さんとオルコスの運営会社の社長の動きを引き続き注視します」 吉村さんの口からまさか海堂さんの名前が出てくるとは思わなくて。思わずヤスさんの顔を見ると、 「ねえさん、俺は大丈夫ですよ」 まわりに心配を掛けまいと普段と何ら変わらないヤスさんがいた。

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