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番外編開けてはならないパンドラの箱
「知らないおじちゃんがふたりもいるんだ。驚かせてごめんね」
「はる先生のおともだちの方ですか?」
「そうだよ」
「橘さんとも友だちだよ」
「え!?ままたんとも友だちなんですか?」
「ままたん?」
吉村さんと斎藤さんが不思議そうに首をかしげた。
「子供たちにとって橘は母親代わりなんだ」
「なるほど、それでままたんなんですね」
彼の説明に大きく頷く吉村さんと斎藤さん。
「ハルちゃんままたんすき」
「みゆちゃんもすき」
「橘さんは子供たちみんなの人気者なんですね」
子供たちの笑顔に吉村さんと斎藤さんの表情が自然と和らいだ。
「どう頑張ってもはる先生には敵いませんよ」
噂をすれば影。橘さんが姿を現したものだから、吉村さんと斎藤さんがびっくりしていた。
「橘さん、お久しぶりです」
「お邪魔しています」
「おとといの金曜日に阿部法律事務所ですれ違いましたよ」
「そうでしたっけ?」
「えぇ。声を掛けたのですが話しに夢中だったみたいでそれで気付かなかったのかも知れませんね」
「すみません」
「本当に申し訳ありません」
心当たりがあるのか吉村さんと斎藤さんが軽く頭を垂れた。
「別に気にしていませんので謝らなくてもいいですよ。今日はオルコスの件で?」
「はい。それと未知さんの携帯のことで」
「そうですか。わざわざ休みの日に来ていただきありがとうございます。ゆっくりしていってくださいね」
橘さんは遥香たちを呼びに来たみたいだった。
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