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番外編開けてはならないパンドラの箱

「誰だ」 「こいつ」 互いに呼び捨てでとても親しげな様子の二人に国井さんと斎藤さんが怪訝そうな表情を浮かべた。 「誰だって、ほら、サイバー捜査官だった朔よ。吉村朔。故郷に帰って一から出直したいって警察を辞めたあの朔よ」 「あぁ、あの朔か。やっと思い出したぞ」 国井さんがようやく笑顔を見せた。 「斎藤、千景は警察官だったときの先輩ですごく世話になったんだ。当時は男性だった。やましい関係は一切ない。だからそんな怖い顔をしないでくれ」 吉村さんが必死に釈明すると、 「そういうことなら先に言ってほしかった」 憮然としながらもチカちゃんと国井さんと挨拶を交わした。 「なんだ吉村と知り合いだったのか」 「そうなのよ。びっくりしちゃった。まさかここで会えるとは誰も思わないじゃないの。これもみ~~んなハルくんのお陰よ。ありがとー」 ウィンクして投げキッスをするチカちゃん。 「俺は別になにもしていない」 苦笑いを浮かべた。 「してるじゃないの?朔を引き留めてくれてありがとうね」 「引き留めたのは橘だ。礼は橘に言え」 「あれれ、もしかして照れてる?顔が赤いのは気のせいかな?」 「気のせいだ。照れる訳ないだろ」 人目をはばかることなくいつものようにじゃれあうふたりをぽかーんとして眺める吉村さん。 「チカにとって卯月は兄代わりだ。しょっちゅう会えるわけじゃないから、実家に帰省したときくらいしか甘えられないから、こればっかりは焼きもちを妬いてもしょうがないだろ?卯月と縣がいてくれたからこそチカは警察官になる夢を叶えられたといっても過言じゃない。それはそうと吉村、お前こそどうなんだ?」 「どうって言われても」 「なかなかお似合いだと思うぞ」 国井さんの視線の先には子供たちと遊ぶ斎藤さんがいた。

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