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番外編開けてはならないパンドラの箱

「こんなのでうまくいくわけないって思っているでしょ?実はアタシもこのおまじないを同じように小指の爪に書いてもらったら二年近くずっと片思いしていたダーリンから告白されて晴れて両想いになれたの。ちょっとは信じてくれる?」 「千景がそう言うなら信じるよ。ありがとう」 吉村さんが小指の爪をじっと見つめた。 「千景、ひとつ頼んでもいいか?」 「あら、ちょっと。眉間に皺が寄っているじゃないの。いい男が台無しよ。朔、スマイルよ」 「なるべく笑うようにする。心配かけてごめん」 「で、何?頼み事って?」 「その胸は作り物か?実はさっきから目のやり場に困っていて、そればかり気になってて」 「ん?」チカちゃんが不思議そうに首を傾げた。 「そんなに気になるなら触ってもいいわよ。子どもたちもいないし、斎藤さんもいないし。どうぞ」 ツンツンと指先ぐ触れるか触れないかくらいの絶妙なタッチでチカちゃんの胸元に触れる吉村さん。 「これじゃあ、ただの変態だよな」 苦笑いを浮かべた。 「あら、そうかしら?ハルくんもノブくんもみんな普通に触ってるわよ。昨日、お風呂もハルくんたちとダーリン、五人で一緒に入ったし」 うふふと愉しそうに笑うチカちゃん。 「朔もブラつけてみる?」 「へ?」 「へ?じゃないわよ。なかなかいいわよ。ストレス軽減、姿勢が良くなる、いいことづくめよ」 「な、なんで男がブラを付けなきゃならないだ」 「警察官もそうだけど弁護士も毎日仕事に追われて、ストレスがかなりたまっていると思うの」 「どんな顔して職場で斎藤に会えばいいんだよ」 「意外と気付かないものよ。あ、そうだ!いいこと思いついた」 ぱちんと両手を叩くチカちゃん。

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