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番外編開けてはならないパンドラの箱

「ハチに謝らないと」 両手で顔を覆った。 「謝る必要はない。肩身の狭い想いをしながらも刑事を続けていられたのは国井とチカのお陰だ」 「ハチ、知らなかったこととはいえすまなかった」 「だから、謝らなくていい」 蜂谷さんが国井さんの前に座ると肩に手を置いた。 「ハチから警察を辞めると聞いたとき、タマのことで責任を感じる必要も辞める必要はない。ハチならもっと頑張れる、何とか思い止まってくれと引き留めただろう?事情を知っていたなら無理に引き留めなかった」 「誰も悪くない。だからもう自分を責めないでくれ」 蜂谷さんが国井さんの手を取ると、小指に自分の小指を絡め、ゆびきりげんまんをはじめた。 「あのなハチ、ガキじゃねぇぞ」 「俺からしたらまだまだガキだ」 「青空に焼きもちを妬かれても知らないぞ」 「妬きたければ、妬かせておけばいい。謝るのはもうなしだ、もし約束を破ったらチカにお尻をぺんぺんしてもらうからな」 「なんだそれ」 蜂谷さんの言葉に国井さんがぶぷっと吹き出した。 「警察官だった頃より、ねえさんの弾よけをして、大きい子から小さい子まで、子守りをしている今がいちばん幸せだ。四季に対しては一生かけても償っていく。それで罪滅ぼしになるとはこれっぽっちも思っていないが。弓削が帰ってきたら、四季の弾よけになりたいとオヤジに直談判する」 「そうか」 生き生きとした表情を見せる蜂谷さんに、ホッとしたのか国井さんが胸を撫で下ろしていた。

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