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番外編開けてはならないパンドラの箱

「駅まで送ります」 「そうか?悪いな」 「悪くないです。千景、荷物重いだろ?持つよ」 吉村さんがチカちゃんが手に持っていたボストンバッグと紙袋を代わりに持つと車に運んだ。 「国井さん、今度帰省するときは連絡を下さい。時間を気にすることなく酒を呑みながらとりとめのない話しがしたい」 「俺もだ」 「それと……」 ちらちらとまわりを伺う斎藤さん。 「もしかして恋のお悩み相談か?役に立てるか分からないが、もし相談事があれば聞いてやる」 「アタシも喜んで協力するわよ」 「ふたりともありがとう」 今日はじめて会ったと思えないくらいすっかり意気投合した四人。 お揃いの黒い絣の浴衣を着た彼と地竜さんと信孝さんと新幹線の出発時間ギリギリまで立ち話しをしてから三人仲良く一緒に帰っていった。 すっかり酔っ払ってしまって縁側で寝てしまった斎藤さん。何をしても起きてくれなくて、頃合いを見て蜂谷さんたちが送っていくことになった。 それから三十分後、チカちゃんから電話が掛かってきた。 ー駅に着いたら福島から仙台と山形に向かう新幹線が送電線の不具合で三十分遅れているってアナウンスが流れていたのよ。で、さっき本日は福島駅から先の運転を取り止めますってアナウンスが流れたの。アタシどうしたらいい?明朝ガサ入れがあるのよー

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