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番外編開けてはならないパンドラの箱
「責任を持ってちゃんと面倒みます。この命に代えても守ります。それと……」
「気負い過ぎだ。肩の力を抜け」
彼と鞠家さんがクスリと笑った。
「玲士、俺の大事な子どもたちとチカを頼んだぞ。鞠家の言うことをちゃんと聞いて、まわりを見て行動しろ。菱沼組と縣一家の看板を背中にしょっていることを忘れるなよ」
「は、はい」いまにも消えそうな声で返事をする玲士さん。彼的にはプレッシャーを掛けたつもりはないのだろうけれど、玲士さんはガチガチに緊張していた。
「え?いまから?冗談じゃないよね?嘘じゃないよね?」
「バーバが冗談言ったことある?嘘つきは泥棒さんのはじまりだよ。バーバは嘘つかないよ」
「それはそうなんだけど、本当にいいの?いつまた紫竜がマーと弟と妹たちを襲ってくるのか分からないのに、僕たちだけ遊びに行って本当に大丈夫?」
「たまには思いっきり遊んでストレスを発散しないと持たないぞ。家のことは心配すんな。俺もいるし向かうところ敵なしの地竜もいる。亜優はまだ日本語が話せないし、この家と組事務所の行き来だけで外の世界をあまり知らない。見聞を広げるいいチャンスだ。紗智、亜優と那和を頼むな」
「分かった。紗智に任せて」
「まるで一太を見ているようだ。兄妹は不思議と似てくるものだな」
クスリと彼が笑った。
寝ている子どもたちを起こさないように大急ぎで出掛ける準備をはじめる紗智さんたち。状況がいまいち分かっていない亜優さんはキョトンとしていた。
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