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番外編開けてはならないパンドラの箱
鞠家さんから無事に着いた。と連絡があったのは朝の五時前。外に出て白みはじめた空をふと見上げたら、ほぼまんまるの白い月が見えた。
「ママ、さっちゃんたちいないよ。さがしてもどこにもいないよ」
一番の早起きは一太と奏音くんだ。
「ななちゃんとあゆさんもいないよ」
「消えちゃったよ」
今にも泣き出しそうな顔のふたり。
「実はね」
昨夜のことを話してあげた。
「それなら早くそういってよ。心配したんだからね」
「かなたも」
ごめんね両手を合わせて謝った。
「ママ、何してるの?空にだれかいるの?」
「誰もいないよ。洗濯物を外に干すか、中に干すか、空を見上げてちょっと考えていたの」
「ほんとに?」
疑いの目を一太から向けられドキリとしてしまった。
「ほんとはね、さっちゃんたちがいなくてさみしいんじゃないの?」
一太も彼と同じで勘が鋭いから、僕が何を考えているか手とるように分かってしまう。
「いっしょに行きたかったな」
ぽつりと呟くとため息をついた。
「陽葵が大きくなったらみんなで家族旅行に出掛けるか?」
彼が欠伸をしながら起きてきた。
「パパのまえがみまたはねてる。つのみたいでおもしろい」
ぴょんと跳ねた前髪を見てププッと吹き出す一太。
「ディノンさんのかみもすごいことになってるよ。ばくはつしているよ」
「ほんとだ。おもしろい」
奏音くんもつられて笑い出した。一太と奏音くんは笑いの坪に入ったみたいで、しばらくの間お腹を抱えて笑い転げていた。
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