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番外編開けてはならないパンドラの箱
「ふたりと遊べるし、ちゃんと面倒もみれる」
「大変なときは代わるからな。遠慮せずに言えよ」
「ヤスさんありがとう」
あふれんばかりの笑顔でキャキャとはしゃぐ太惺と心望をじっと見つめる譲治さん。
「たいくん、ここちゃん、喧嘩をしても仲直りして、いつまでも仲良しこよし。ずっと笑っていられる兄妹でいるんだよ。他人になったら終わりだよ。会いたくてももう会えないんだから」
もう二度と戻れない昔の自分と希実さんを重ねていたのかも知れない。
「ふたりには難しかったな。ごめんな」
譲治さんが寂しそうにぽつりと呟いた。
「もしかしたら僕にも姉の他に男兄弟がいたのかな?」
ナオさんが何気に漏らした言葉に一瞬場が静まり返った。
「もし兄弟がいたとして会いたいですか?」
「う~んどうだろう」
ナオさんがしばらく考え込んだのち、
「みんながみんないい人とも限らないし、同性婚をした僕に理解を示してくれる好意的な人ばかりとも限らないでしょ?遼成さんと龍成さんは信孝さんと一緒になった僕を家族としてあたたかく迎えてくれた。光希さんもすごく優しくしてくれる。それだけじゃない。未知や卯月さんたちみんなにもよくしてもらばかりいる。だからかな、現実から逃げてばかりいて微温湯につかっていていいのかなって。最近そればかり考えるようになって。そんな自分が嫌で嫌で仕方なくて。堂々巡りをしている」
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