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番外編開けてはならないパンドラの箱
「そんなにおっかなくないですよ。取って食ったりはしません。ですからビクビクしないでいいですよ」
炊飯器のスイッチを押すと、くすくすと笑いながら台所をあとにした。
「ヤスさん、遥琉さんはあとどのくらいで戻ってきますか?」
「小一時間はかかるかも知れません。オヤジが戻ってくるまでは柚原さんがオヤジの代わりをつとめますから大丈夫です。最強夫婦がねえさんにはついていますから、大船に乗ったつもりでいてください」
「一癖も二癖もある人たちばかりで人間じゃない。鬼なんじゃないか、血が通っていないんじゃないか、失礼だけどずっとそう思ってきた。だって全然笑わないし高圧的だし最初から僕が悪いって決めつけて一方的に話すし、僕はとにかく弁護士が苦手だった。でもね、橘さんに出会って弁護士にたいするイメージが変わった。みんながみんなあの人たちと同じとは限らない。橘さんみたいに親身になって話しを聞いてくれて弱い者の味方をしてくれる弁護士もいるだって初めて知った」
「平々凡々な道より、棘の道をあえて選んだのは遥琉さんを支えともに生きるため。だからヤクザお抱えの弁護士になったって」
「未知ってスゴいよね」
「どうしてですか?」
「話せば長くなるからあとでゆっくり話す。未知、そろそろ行こう。五分もいれば十分」
「はい」子どもたちを佐治さんと鍋山さんと譲治さんにお願いしてから広間に移動するとヤスさんが襖のまえで眉間に皺を寄せ口を真一文字に結び腕を前で組んで仁王立ちしていた。
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