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番外編開けてはならないパンドラの箱

「客人を待たせるとはな。非常識にもほどがある。これだから福光の面汚しとか言われるんだろうが」 神経質な嫌悪に尖った声のあと、 「まぁ、まぁ、落ち着いて」 落ち着いた錆びた声が聞こえてきた。 「黙って聞いていれば好き勝手に言いやがって。腸が煮えくり返りそうだ。ナオ、福光の家を出て正解だったな」 「顧問弁護士がころころと何人も変わっていると信孝さんから聞いてはいた。僕が一番苦手なあの人もやめてもういないって聞いたときは正直ほっとした」 「無理して会う必要はないとオヤジも信孝さんも言っていた」 「逃げてばかりいたらいつまでも先に進めず今のままでしょ?関係のない未知まで直司さんは巻き込んだ。それに対しどうしても言いたいことがある」 歯をくいしばり拳をぎゅっと結ぶナオさん。 踵はだいぶ良くなったみたいだけど無理しないでほしい。 「心配してくれてありがとう。僕は大丈夫だよ」 襖を開けると、白髪の男性と眼鏡を掛けた男性が嫌悪感を露にしながらじろりと僕たちを睨み付けてきた。

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