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番外編開けてはならないパンドラの箱

「誰だお前は?」 「ファーズ・ファイナンス・ジャパンの森下と申します。以後お見知りおきを」 「ファーズ・ファイナンス・ジャパン!?どこかで聞いたような……」 「ヤミ金だろ?」 「私どもはヤミ金ではありません。健全な消費者金融です」 「どこが健全な消費者金融だ」 「悪徳弁護士に言われたくありませんね」 ちらっと横目でナオさんを見るなり、 「久し振りだな。また一段と綺麗になって。幸せそうで何より」 優しく微笑んだ。 「ご存知ないと思いますが私もめぐみの苑の出身ですよ。そんなのどうでもいいだろって?そうですよね、関係ないですよね?損得勘定ばかりしているとそのうち墓穴を掘りますよ」 森下さんが手に持っていた黒い鞄から茶封筒を取り出すと二人に付き出した。 「わざわざおいでになりありがとうございます。お陰で東京に行く手間が省けました」 「拒否する」 「なぜ俺たちが受け取る必要があるんだ?」 「ふたりの遺族からの熱烈なラブレターです。といっても告訴状ですがね。受け取ってもらわないと非常に困るんですが」 「告訴状だと?俺らには関係のないことだ」 「そうだ。そこまで言うなら証拠があるんだろ?それにふたりとも独り身だろ?嘘も大概にしろ」 「証拠ですか?もちろんありますよ。それにふたりには遺族がいますよ。あれ?おかしいですね。ふたりを知らないと言ったはずなのに、やっぱり知っていたんですね。水くさいですよ」 不適な笑みを浮かべる森下さん。よほどの自信があるのか余裕綽々だ。

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