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番外編開けてはならないパンドラの箱

「森下さんってもしかして……」 お姉ちゃんとチカちゃんと同じなのかな? 「食べ盛り、育ち盛りの坊やをふたりも育てていくためにはなりふりなんて構ってらんないでしょ?ずっとスナックのママをしていたの。でも半年前、昼のお仕事をしてみないって常連のお客さんに誘われて……」 「それで消費者金融に就職したんですね?」 「そうよ。ファーズ・ファイナンス・ジャパンにね」 ごほんごほんと咳払いをしたあと、 「ナオと仲良くしていただき感謝します。これからもどうかナオのことを宜しくお願いしますね」 男性の声に戻り、にこやかな笑顔を浮かべ握手を求められた。 「長谷川さんと安藤さんのことをよくご存知でしたね。まさか未知さんの口から出てくるとは思わなくて驚きました」 「ごめんなさい。僕、ふたりのことは全然知らなくて。菱沼金融の社長の根岸さんから話してくれと頼まれたんです」 嘘をつかず正直に答えた。 「そうだったんですね。なるほど」 詳しいことまでは話してもらえなかったけど根岸さんの話しでは伊澤さんがかつて逮捕した殺人未遂事件の容疑者の弁護人になったのがあの弁護士たちで、因縁の仲みたいだった。ふたりはいつも喧嘩腰で、会ったら間違いなく取っ組み合いの喧嘩になるから会わないようにすると。 「森下さん、変なことを聞いてすみません。長谷川さんと安藤さんの遺族ってもしかして森下さんが育てている子どもたちのことなんですか?」 「そうですよ。話せば長くなるので時間があるときでもおいおい説明しますが、ナオも未知さんも理解ある素晴らしい伴侶に出会えてよかったですね。羨ましい限りです」 森下さんも複雑な事情を抱えているみたいだった。

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