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番外編開けてはならないパンドラの箱
「意気揚々と乗り込んできたのに。返り討ちにされてさぞや悔しかっただろうな」
くくくと愉しそうに思い出し笑いをする彼。
「容易に私を丸め込むことが出来るとでも思ったのでしょうね。甘く見られたものです」
橘さんが苛立ちを露にした。
「そうツンツンするな。めんごい顔が台無しだ」
「吉村さんと斎藤さん。それに森下さんに助けてもらったようなものです。森下さんと知り合いならなぜ未知さんとナオさんに黙っていたんですか?ふたりともビックリしていましたよ。ナオさんなんか特に」
「悪気はなかったんだ。すまん」
バツが悪そうに頭を掻く彼。
「和真の父親の和彦はファーズ・ファイナンス・ジャパンから金を借りたまま一銭も返済せずに姿をくらました。森下は和真から取り立てようとしていたから、和真は俺の身内も同然だ、取り立てを止めるように頼みに行ったら、ナオと同じめぐみの苑の出身と聞いてな、詳しい話を聞いていたら茨木さんの名前が出てきたから二度驚いた。世間は広いようで狭いな」
「ブラックリストとは、キャッシングやショッピングローンなどの支払いの遅延や、債務整理の情報が信用情報機関に登録されることです。和彦さんは私的に流用した会社のお金を消費者金融からのキャッシングでなんとか補填しようとしていました。そんな状況でも和彦さんの妻の浪費癖は直らず借金は雪だるま式に増えていきました。消費者金融では一銭も貸してもらえずそれで闇金に手を出したみたいです」
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