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番外編開けてはならないパンドラの箱

「なぁ、大山。ファーズ・ファイナンス・ジャパンの森下という男を知らないか?」 ーあいにく消費者金融に知り合いはいないー 間一髪いれずに即答した大山さんに、 「相変わらず嘘をつくのが下手だな」 彼が苦笑いを浮かべ、 「もうちょっとまともな嘘をつけないのか」 苦言を呈した。 「茨木さんとナオの知り合い以外は嘘だろ?ファーズ・ファイナンス・ジャパンという消費者金融会社は確かにあるが会社は休眠状態だ。ファーズ・ファイナンス・ジャパンという今風のハイカラなに名前に変える前は九鬼金融だった」 ー消費者金融にも詳しいとは意外だなー 「しらばっくれな。俺が昔やない金融の社長だったことくらい調べがついているだろ?」 ー嘘八百並べてもすべてお見通しとはな。おみそれしました。さすがは播本が孫の伴侶に選んだ男、卯月上総の倅だー どんなに誉めちぎられても彼は眉ひとつ動かさなかった。 「過分のお褒めに預かり恐縮だが、まだまだ俺は青二才だ。偉大な先輩方の足元にも及ばないよ」 ーまぁ、そう謙遜するなー 大山さんがふふっと笑った。 「それはそうと公安もサツも悪徳弁護士をなんで野放しにしておくんだ?死人がどんどん増える一方だぞ。それに未知もナオも安心してお天道様の下を歩けない。事件が起きてからでないとサツは動かないもんな。それでは遅いんだぞ。分かってんのか?」 普段はめったに怒らない彼が声を荒げた。

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