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番外編開けてはならないパンドラの箱
「どうせ上層部からの圧力に屈したんだろ?」
ー違う。断じて圧力などないー
大山さんが語気を強めた。
「誰も信じねぇよ。今さら白々しい。福光直司は政界を引退して五年も経つのにいまだに政財界で強い影響力を持っている。あれだけ大きな事件を起こしておきながら不起訴だ。いまだに行方が分からない子どもが何人もいるのに事件性はなし。捜査も打ち切りになった。良識ある一般市民はみんな納得していないぞ。要職を歴任し与党の幹事長を長くつとめた議員さまは何をしても許されるのか?」
ー許される訳がないだろう。俺だって悔しいんだ。そこは分かってくれー
「何が分かってくれだ。いいか大山、これだけは先に言っておく。つかさが未知とナオに危害を加える前にどうにかしろ。俺の大事な二人に傷ひとつでもつけさせてみろ。ただじゃおかねぇぞ、いいな」
ドスのきいた低い声で脅しつける彼。
ナオさんが心配そうに彼と大山さんとのやりとりを見ていた。
「警察に何をされるか怖くて言い返すなんて出来ないから。卯月さんありがとう。僕の代わりに怒ってくれて。嬉しい」
電話を切るなり彼に声を掛けるナオさん。
「ナオは何も悪いことはしていないだろ?サツと公安にマークされるようなことはしていないんだ。お天道様の下を堂々と歩けばいいんだよ。もし後ろ指を指す輩がいれば俺と信孝が蹴散らしてやる」
「ありがとう卯月さん」
ナオさんが何か言いたそうだった。
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