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番外編開けてはならないパンドラの箱
「ほとぼりが冷めたころに戻ってくる」
「バイバイまたねが最後にならない?本当にまた会える?嫌だよ、また一人に戻るの寂しい」
「一人じゃない。卯月もねえさんも鍋山も青空もみんな譲治の側にいる。だから心配するな」
駄々をこねる子どもをあやすように、しがみつく譲治さんの手をぽんぽんと優しく撫でる地竜さん。そんな二人をそわそわしながら鍋山さんが見ていた。
「気を揉んでもこればかりはしょうがない。親の背を見て子は育つということわざがある。譲治には出来なかったことだ。鍋山、お前が鏡となり、譲治に手本を見せてやってくれ。人生何事も経験だ。小さなことでも出来たは自信に繋がる」
「オヤジの格言ありがたく頂戴します」
「たいしたことは言ってない。背中が痒くなるからあまり褒めないでくれ」
彼が照れ笑いを浮かべた。
「覃さんと同じ匂いがする」
「そうか?気のせいじゃないか?」
ぶんぶんと首を横に振る譲治さん。
「そういえば犬なみに嗅覚が鋭いって覃が言ってたな。頭痛と腰痛のほうはもうなんともないのか?」
地竜さんの問い掛けにどきっとして顔を上げる譲治さん。
「そうだ。頭と腰が痛いんだった。忘れていた」
頭を抱えて足元から崩れ落ちるようにその場に座り込んでしまった。
洗濯物を畳んでいたら、
「たった今入ってきたニュースです。仙台駅前の繁華街で発砲事件が起き複数の怪我人が出ている模様です」
テレビから緊急速報が流れてきたからどきっとした。
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