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番外編開けてはならないパンドラの箱
「アジア系の若い男性が胸を拳銃のようなもので撃たれその場で死亡が確認されました。指定暴力団昇龍会系の竜崎組が市内から撤退したあと市内では縄張りを巡り吉柳会と神政会と楮山組の対立が激化しています」
仙台駅前、アジア系の若い男性。暴力団同士の対立。手を止めてうわ言のように呟くと、落ち着かない不安が傷口の血のように滲み出してきた。
確か、竜崎組の幹部のひとりが竜崎さんと意見が合わず、数人の構成員とそのまま仙台に残り、吉柳会を再興させたと彼が話していた。
鞠家さんと蜂谷さんの携帯に電話を掛けたけど、何度電話を掛けても繋がらなかった。
「未知、大丈夫か?」
心配顔で彼と地竜さんが部屋に入ってきた。
「遥琉さん、地竜さん、紗智さんたちじゃないよね?」
聞くのも怖くて。声が震えた。
チカちゃんとも連絡が取れず、ダメ元で彼が甲崎さんに、地竜さんが国井さんに電話を掛けた。
ーてっきり玲士がまた何かしでかしたんじゃないかと思ったぞ。亜優のことを泣かせたり困らせたりしていないか、亜優が好きすぎて暴走していないか、気が気じゃなかったんだ。良かったー
「慣れない土地で婿見習いとして精一杯頑張っている。そっちに帰ったらうんと褒めてやってくれ」
ほっとして胸を撫で下ろす甲崎さん。一方の国井さんはというと、
ーいちばん聞きたくないのに。なんで俺がお前の声を聞かなきゃならんのだ?しかもこれ未知の携帯だろ?未知からだと思って喜んで出たのにがっかりだ。糠喜びで終わったー
不平不満を並べる国井さんにさすがの地竜さんも、
「それは悪かったな。お呼びじゃないのは重々承知の上だ。誰もお尋ね者の声なんか聞きたくないよな」
苦笑いを浮かべるしかなかった。
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