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番外編開けてはならないパンドラの箱

誰とも連絡がつかないままただ時間だけが過ぎていった。そして辺りが暗くなる頃になって、 「ただいまマー」 紗智さんたちが元気いっぱい帰ってきた。 「鞠家、ハチ、玲士、頼むから電話くらい出てくれ」 「電話?」 不思議そうに首を傾げながら各々携帯の画面を見る三人。彼と地竜さんからの着信が何十回と残っているのを見て真っ青になった。 「もしかして仙台駅前で発砲事件があったこと知らないのか?」 「ラジオで流れていたのでもちろん知ってます。すみません寄り道をしていました。恋人たちの聖地があるとかで紗智と亜優に行きたいと言われそこに寄り、青空に道の駅スィーツ巡りがしたいと言われ何ヵ所か巡ってきました。あとそうだ、那和を神社に連れていきました。三人もいて誰も電話に気付かず本当にすみませんでした」 平身低頭頭を下げる三人。 「過ぎたことは怒ってもしゃない。これからは電話に出てくれよ。それと未知がどれだけ心配したか分かるか?謝る相手は俺じゃなく未知じゃないか?」 彼の言葉に三人がはっとし顔を上げた。 「マーごめんね。てっきり高行さんが電話をしてくれているものだと思っていたから」 「鞠家さんと蜂谷さんを連れ回してごめんなさい。僕たちここに来て遠出するのが初めてだから嬉しくて。亜優にもいろんなところを見せてあげたかったから。亜優も頭を下げて。マーに謝ろう」 「三人ともお願いだから頭は下げてなくて大丈夫だから。みんなの元気な顔を見れたから良かった」 彼にみっちり注意されてしゅんとしていた紗智さんたちを元気付けようとなるべく明るく振る舞った。

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