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番外編どっちが子どもなんだかわからないね

「借金をちゃらにする代わりに、汚れ仕事を椎根に押し付けられいいように利用され、用済みになったとたん椎根に消されたんじゃねぇか?」 「俺もそう思います」 「森下に、椎根か。オヤジの会社からも借金して踏み倒すとは。ふざけたヤロウだ」 幹部たちが絶対に許さないと息巻いて声を荒げた 「蜂谷さん、海翔くんと鉄将くんのお母さんは見付かったんですか?」 友だちがいまだに見付からなくて。心配する奏音くんを気遣いあえてそのことには触れて来なかった。椎根さんがもし関わっているのなら二人の命が危ない。 「海翔はまだ見付かっていない。鉄将の母親はもしかしたらもう亡くなっているかもしれない。現場からは致死量の出血が確認されている」 「自分の命とひきかえに鉄将くんを逃がしたってことですか?」 「椎根に見付かったら間違いなく殺されると覚悟していたんだろう。何かあったときはベランダからすぐに外に出る、大通りにある公衆電話があるコンビニエンスストアから電話をする、二週間という限られた時間のなかでこれを何度も繰り返し練習させていた。だから根岸さんに電話を掛けてこれた」 「椎根にもし人の心があれば病院に連れていくだろうが、椎根は人間の皮を被った獣だ。たとえどんな悪党でも獣でも鉄将にとっては父親には代わりない。千里たちやまわりの大人たちに心配を掛けまいと明るく気丈に振る舞っているがいつ心が悲鳴を上げるかわからないそんな状況だ」 彼が深いため息をついた。

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