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番外編どっちが子どもなんだかわからないね

「ディノンさんってまだ言えないみたいで。デさんか、ディさんでごめんなさい」 「別に気にしていない。ナオ、そろそろ寝よう。両手に花で寝れるチャンスはもう二度とないかもしれない。卯月と信孝に邪魔をされたくない」 地竜さんがリモコンに手を伸ばし明かりを消した。 陽葵におっぱいをあげていたら、ド~ン、パチパチと打ち上げ花火の音が聞こえてきた。こんな真夜中に花火?何かの聞き間違いじゃないか、自分の耳を疑った。でも、パチパチとまた聞こえてきて。胸元を直してから陽葵を抱っこしたまま縁側に出ようとしたら、 「未知、足元が暗い。転んだら大変だろう」 地竜さんが携帯のライトで足元を照らしてくれた。 「ありがとう地竜さん」 「それに風邪をひいたりしたら大変だから」 肩にカーディガンを羽織らせてくれた。 「何度も卯月と橘と柚原が様子を見にきている。俺が未知やナオに悪さをしていないか心配なんだろう。十分おきに入れ替わり立ち替わり。卯月は子どもたちの布団を直したり、子どもがグズっていれば抱っこしてあやしたり、橘はこのカーディガンを羽織らせてくれと置いていくし、柚原はずっと襖の前に座っている蜂谷に何度か声を掛けていた。まさに鉄壁の守りだ。きみを独り占めしたくてもライバルが多すぎる。参ったな」 地竜さんがくすりと苦笑いを浮かべた。

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