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番外編どっちが子どもなんだかわからないね

「頼むからトゲのある言い方をするな」 「本当のことを言っただけですよ。それよりも遥琉、信孝さんと地竜さんを置いてきぼりにしていいんですか?同じ布団に二人きりにしてきて大丈夫なんですか?」 「地竜も一緒に起きてくる予定が、信孝が地竜の腕にしがみついて離れなくて。ナオだと勘違いしているんだろう」 信孝さんはバグ魔とキス魔だ。今ごろ地竜さんの顔が大変なことになっていないか心配になってきた。 「血の雨が降らないことを祈りましょうか」 「そうだな」 ふふっと彼が微苦笑を浮かべた。 「そういえば夜中にヒョーヒョーと鳥がかなりうるさく鳴いていたな」 「風が強いのに健気ですね」 橘さんが何か気付きドアのほうを見た。 「ままたん」泣きながら立っていたのは優輝くんだった。 「失敗は誰にでもあります。着替えをしてきましょう」 「やだ、だっこして」 ブンブンと首を横に振り両手を出す優輝くん。 「分かりました」 橘さんが優輝くんの腰に腕を回して抱き上げると、優輝くんは橘さんの首にぎゅっとしがみついた。 「奏音の夜泣きも続いている。布団が冷たくて目が覚めるからなおさら寝起きが悪い。ぐずって泣いてばかりいる。優輝は甘えられるひとが側にいてくれる安堵感からか赤ちゃん返りしてしまった」 「僕はお兄ちゃんだもの。めぐみちゃんと幸を守るんだって柚さんに甘えたくてもずっと我慢していたもの」 「その分反動がすごいんだろうな。陽葵、パパっておいで」 彼が陽葵を抱っこしてくれて。背中をぽんぽんと優しく擦るとなかなか出なかったげっぷが一髪で出た。さすがだ。

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