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番外編 サクラ 

校舎の裏側にある駐車場まで戻ってくると、彼に呼び出された玲士さんが佐治さんが運転する車で駆け付けていた。 「ずいぶんとまぁ早いな。事故ったらもともこうもない。頼むから安全運転を心掛けてくれ」 「たまたま近くにいたいただけです」 佐治さんが彼に目で合図を送った。それに対し小さく頷くと、 「優先生、ほら急いで」 地竜さんを後部座席に押し込んだ。そのとき、 「黒のワゴン車に気を付けろ」 耳元でそう囁いた。 「佐治、優先生を頼むな」 ドアをパタンと静かに閉めた。 「玲士、森下の後ろには公安と、森下に優輝とめぐみを始末しろと命じた者がいる。応援がくるまでくれぐれも気を付けろよ。俺たちを監視している車がもう一台いる」 「肝に銘じます」 玲士さんの表情が引き締まった。 「公安か」 「恐らくな」 後部座席に乗り込んだあと彼と柚原さんがちらっと後ろを見た。アパートの駐車場には見慣れない品川ナンバーの車がエンジンをかけたまま停車していた。 「わざとバカップルを演じるとはな。さすがは地竜だ」 柚原さんがくすりと笑んだ。 ほほ同時刻。彼に配達を頼まれたからとシフォンケーキ屋さんの男性店員が訪ねて来た。 「青空に聞いたら初めて見る店員だそうだ」 普段この時間帯は組事務所にいる鞠家さん。でも今日は柚原さんが帰ってくるまで子どもたちの遊び相手をしてくれていた。 「俺が行く」 玄関に向かおうとした鞠家さんに、 「公安かも知れない。用心しろ」 蜂谷さんが声を掛けた。 「公安なら懐かしい顔を拝めるかもな。ハチ、青空を借りるぞ」 鞠家さんは青空さんを連れて行った。

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