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番外編 サクラ
「幸ちゃん危ないよ」
竹箒を置いて幸ちゃんに駆け寄ったのは譲治さんだった。
「コイツこの状況が分かっているのか?」
銃を構える男性のことなど眼中にない譲治さんに怖いと感じたのだろう。
「何者だ?コイツ?」
ぼそぼそと独り言を口にした。
「優輝を殺させようとしたなんて最低。子どもに銃を向けるなんてもっと最低」
譲治さんは幸ちゃんを抱きあげると男性を睨み付けた。若いころの九鬼さんを彷彿とさせる意志の強い眼差しにはっとする男性。
「そんなに九鬼と楮山の血を根絶やしにしたいのなら僕を殺せばいい。優輝もめぐみも幸も関係ない。だから頼むから巻き込まないで。幸熱があるんだ。寝せてくるから待ってて。大丈夫逃げないから」
譲治さんは右手で幸ちゃんをしっかりと抱き締め、左手で玄関の戸を静かに開けた。
「楮山さんも銃で脅すか、殴るか、蹴るか、頭を叩くかだった。叩かれるのも殴られるのも蹴られるのも慣れている」
譲治さんが鞠家さんと青空に退くように頼み、両手を広げて男性の前に立った。
「あ、そうだ。カシラ、携帯」
「は?」
「いいからコイツをさっさと撮るんだ」
「悠長なことを言ってる場合じゃあ……そうか、その手があったか」
鞠家さんが携帯を取り出し銃を譲治さんに向ける男性を撮影しはじめた。
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