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番外編サクラ

「騒ぎたければ騒げばいいんです。私は気にしていません。一度全てを失っていますからね、もうなにも怖くありません。卯月さんは尊敬するひとの一人です。卯月さんには周りの人を引き付ける人間的魅力とカリスマ性があります。それに……」 「吉村さんもついにオヤジにハマったか」 「はい。気付いたときには沼に落ちていました。卯月さんは素晴らしい人です。手本となる人です」 目をキラキラと輝かせる吉村さん。彼の話しは尽きることがなかった。 「斎藤に焼きもちを妬かれても知らないぞ」 「ね、根岸さん、な、何か誤解していませんか?斎藤とは何でもありません」 動揺して顔を赤らめる吉村さん。 「そうか?あれ~変だな。顔に図星だ、好きって書いてあるぞ」 根岸さんに痛いところをつかれ、 「根岸さん、今度でいいので相談に乗ってもらえますか?」 「いいぞ、何でも聞いてやる」 真剣な眼差しの吉村さんに、根岸さんがにこりと笑んでそう答えた。 「子は宝物。話しの節々からそれがよく伝わってきました。根岸さんのお孫さんは大丈夫ですか?」 「俺の孫に手を出すということは、つまり養父の縣遼成に喧嘩を売るということだ。縣一家の若いのはみな血の気が多いからな、命がいくらあっても足りない」 「お孫さんは幸せ者ですね。みんなに愛されて」 「あぁ、これもすべてオヤジのお陰だ」 パソコンの画面とにらめっこしていた吉村さんの手がふと止まった。

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