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番外編サクラ

「根岸さんからメールです」 通知音が鳴り橘さんが携帯の画面をちらっと見た。 「もしかして幸ちゃんの具合が悪くなったとかですか?」 「首に引っ掻き傷があるので至急防犯カメラの映像を確認してくれと。急に言われても……困りましたね」 「その場にいた鞠家さんと青空さんなら何か見ていたかも知れません」 「呼んだか?」 青空さんが鴨居をくぐるためにかがんで居間に入ってきた。 「ちょうどそれを言いに来たんだ。ナイスなタイミングだろ?さっきの男が幸の首根っこを掴もうとしたのは確かだ。その時に引っ掻かれたんだろう。熱でふらふらしていたから気付かなかったかもな。橘、待てだ。怒るのはまだ早いぞ」 「過ぎたことです。怒っても仕方がありません。と言いたいところですが、千里のほうから大山さんに苦情を申し立ててもらいましょう。そっちがその気なら今後捜査協力は一切お断りすると。あの捜査員、吉田と名乗っていましたがどうせ偽名でしょう。捜査に支障をきたすから家族にも誰にも公安だとは言えない。やっていいことと悪いことくらい大人なら分かるでしょう」 「陽葵、ままたんにスマイル。怒るなと言ってくれ」 「青空さん、陽葵は赤ちゃんなのでまだ喋れません」 「この際誰でもいい。誰かいないか、橘の怒りを静められるひと」 キョロキョロとあたりを見回す青空さん。

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