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番外編命知らずの度胸と根性
休み時間になり校舎から子どもたちが一斉に飛び出してきた。
「れいじさん、なにをしてるの?」
通用口の前でしゃがむ玲士さんに真っ先に駆け寄り声を掛けたのは一太だった。
「うわぁーびっくりした」
誰にも気付かれていないだろうと高をくくり携帯を片手で弄っていたから、飛び上がるくらいに驚いて尻餅をつきそうになった。
「頼むからしーだ」
体勢を整えながら唇の前に指を立てた。
「何で?」
「見付かったら不審者だって騒がれて警察を呼ばれるだろ?そうなると非常にまずいんだ」
「バレバレだよ。一太、教室のまどからずっと見ていたもの」
校舎の二階を指差す一太。
「そうか、見えていたか」
「大丈夫。れいじさんはふしんしゃじゃなんかないよ」
「ありがとう一太。二年生三人組には俺がここにいることは内緒にしておいてくれ」
「何で?」
「何でって聞かれてもな……」
「ぼく分かるよ。しゅうしゅうがつかなくなるからでしょ?れいじさんもたいへんだね。友だちがよんでるから行くね。ひとりでさみしいけどがんばってね。一太おうえんしてるからね」
バイバイと元気に手を振りながら滑り台で待っているクラスメイトのもとに走っていく一太を玲士さんも笑顔で手を振って見送った。
「ん?待てよ。一太は亜優の弟。亜優と一緒になるということはつまり一太が義理の弟になるということだろ?一太に玲士さんじゃなくてお兄ちゃんって呼ばれる日が来るってことだろ?一太だけじゃない、ハルちゃんもたいくんたちもみんな俺の妹と弟になるってことだよな。毎日がパラダイスじゃないか」
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