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番外編すっかり雲隠れしてしまった一央さん

「遼も龍も性格はかなり短気で喧嘩っ早く熱血な一方で非常に涙もろい。罪を憎んで人を憎まずだ。そんな遼が一央を殺そうとしたなんてあり得ない。濡れ衣だ」 「でもまさか一央さんが告訴状を提出するとは思わなかった」 「一央さんは簡単に考えているかもしれませんが、相手に刑事処分・懲役処分を受けさせる目的で、故意に、捜査機関や懲戒処分権者に対し、客観的事実と異なる虚偽の告訴を行うことは虚偽告訴罪にあたります。虚偽告訴を行った者は、3ヶ月以上10年以下の懲役に処されます。れっきとした犯罪です」 橘さんが険しい表情を浮かべて部屋に入ってきた。 「心配しなくても邪魔はしませんよ。たいくんたちの着替えを取りに来ただけですから。かわいそうなのは子どもたちです」 「もう無理だけどいつかパパとママが仲直りして、家族五人でまた一緒に暮らせたらいいのにな。めぐみちゃんが寂しそうにそんなことを話していたから」 身勝手な大人たちに振り回されるのはいつも子どもたちだ。一央さん、隠れてないで出てきてほしい。 「りょうお兄ちゃんにまだ未練があるとか……そんなことないよね」 「男心と秋の空という言葉があるように、一央が何を考えているかさっぱり分からない」 「もしも、誰かが一央さんに楮山さんの息子と娘は金になる。利用しない手はないと入れ知恵をしていたとしたら?一央さんは柚さんに対してはすぐに手を挙げるモノハラ夫で、子どもたちに対しては駄目な父親を演じながら二人が柚さんから離れて暮らす瞬間を虎視眈々と狙っていたとしたら?まさか遥琉さんが二人を引き取ることは想定外で誤算だった。だから公安の刑事さんを利用して二人を遥琉さんから引き離そうとした。関係のないりょうお兄ちゃんまで巻き込んだ」

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