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番外編すっかり雲隠れしてしまった一央さん

「いつまで根に持っているんだ一央は」 「そもそも言い出しっぺは一央さんのほうじゃないですか。遼成さんと別れて柚さんと結婚する。龍成さんが一人前になるまで自分が縣一家と、柚さんとお腹の子どもたちを守ると遼禅さんと幹部たちの前で誓ったはずです。私の記憶違いですかね」 「記憶違いではない。しかしまぁ、昔のことをよく覚えているな」 「遥琉に出会ったときのことも昨日のことのようによく覚えていますよ。十八年以上も昔のことなのに。不思議なものです」 ごほん、ごほん、とわざとらしく咳払いをする彼。顔が真っ赤だ。 「未知さんと一太くんに出会ったときのこともよく覚えていますよ。遥琉は一目見ただけで未知さんと一太くんを好きになり、たとえ世界を敵に回すことになろうともふたりを絶対に守ると……」 「橘、ストップ!それ以上は禁句だ」 彼がかなり動揺していた。 「遥琉は有言実行の男です。私や柚原さんの期待を決して裏切らないから毎日がとても充実していますよ。楽しくて仕方がありません」 「何気にプレッシャーを掛けられているような……気のせいか?」 「えぇ、気のせいです」 優璃着替えはまだか?柚原さんの声が聞こえて来た。 「邪魔をしないつもりだったのに長居してすみません。千里から連絡が来たらすぐに知らせます」 「頼むな。それまで寝るから」 彼が再び目を閉じた。目と鼻の距離に彼の顔がある。それだけでドキドキが止まらなくなってしまう。 「こんな近くで彼の顔を見るの最近なかったかもって。僕のほうが先に寝落ちしちゃうのが多いから」 照れながら彼の前髪をそっと指先で撫でた。

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