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番外編すっかり雲隠れしてしまった一央さん

「俺、違いますよ」 「違くてもいいんだ。これからもよろしく」 爽やかなスマイルで右手を差し出すと、 「よく分かんないけど、よろしくです」 戸惑いながらもみんな快く握手に応じてくれた。 「一体誰なんだ?」 家中歩き回り探したけど、結局彼に話してくれた若い衆は見付からなかった。廊下の真ん中で立ち止まり首を傾げていると、すれ違いざまウーさんと何気に目があった。 「ごめん、邪魔して。もしかしてウーさん?」 聞いたあとに言葉が通じないことを思い出す玲士さん。 「卯月さんは若い衆って言っていたけど……そうか。なるほど。ありがとうウーさん。サンキュー」 一人で納得し笑顔になった。 「谢谢你告诉我《シエシエ ニー ガオスーウオー》 知らせてくれてありがとうって」 紗智さんがふらりと現れて。通訳してくれた。 「不用谢《 ブーヨンシエ》 (どういたしまして)」 にこりと笑むウーさん。 「玲士さん、これからも宜しく」 右手を差し出す紗智さん。それを見てウーさんもすっと右手を差し出した。 「紗智さん、ウーさん、若輩者ですが宜しくお願いします」 深々と頭を下げようとした玲士さんに、 「ちょっと待った」 紗智さんが慌てたような声を出した。 「玲士さんが一番の年上だよ。ウーは多分推定三十歳だから。もし違っていたらごめんなさい。だから呼び捨てで呼んで。これからは他人じゃないんだから。それと敬語もなしだよ」 「分かりました。じゃない、分かった。これでいいかな?」 「亜優と那和が待ってる。ご飯まだでしょ?一緒に食べよう」 繋いだ手をぐいぐいと引っ張ってそのまま玲士さんを連れていった。 「心配するまでもなかったな」 どうやるものかやきもちしながら三人を遠くから眺めていた彼と鞠家さん。ほっとして胸を撫で下ろしていた。

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