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番外編 橘さん、ナイスアドバイス
「酔っぱらう前に一つだけいいですか?」
ノンアルコールの缶ビールを開けようとした玲士さんに橘さんが声を掛けた。
「大きなお世話かも知れませんが新入りなのですからこれからは卯月の言うことは絶対に守らなければなりません。破ればヤスさんと佐治さんに迷惑が掛かります。若い衆に根性を叩き直されます」
「あぁ~~思い出した!やべぇ、兄ちゃんに電話をしていなかった。すっかり忘れていた。橘さん思い出させてくれてありがとうございます。兄ちゃんに電話をしてきます。あとそこ空けておいてください。誰にも座らせないでくださいよ」
ガタンと立ち上がると携帯を耳にあてながら慌てて台所を出でいった。
「相変わらず忙しいひと。何事かって亜優がびっくりしてる」
紗智さんがくすりと笑った。僕何かした?不安そうな表情を見せる亜優さんに大丈夫、亜優のことじゃないから。そう中国語で話し掛けて頭を優しくぽんぽんと撫でた。
「混ぜて」
玲士さんと入れ違いに鞠家さんが椅子を持って姿を現した。
「甲崎が何回電話しても出てくれないと嘆いていた。橘俺からも礼を言う」
「いいえどういたしまして」
にこやかに答える橘さん。
「電話に出ないといえば地竜もだ」
嫌な予感と妙な心臓の鼓動を感じ携帯を何度も見るなどどうも落ち着かないのは僕も彼も同じだった。
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