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番外編 橘さん、ナイスアドバイス
「なぁ森下、お前が家を留守にしている間、息子たちは誰が面倒をみてんだ?」
お客さんというのは森下さんのことだった。殴られたのか瞼は腫れあがり唇の端は切れていた。頭にはぐるぐると包帯を巻いていた。森下さんは彼に何を聞かれようが貝のように固く口を閉じて一切喋らなかった。
「昇龍会の会長が女だからといって舐めんじゃねぇぞ」
「別に舐めていません」
「やっと喋る気になったか」
「煩い」
鋭い眼差しで彼を睨む森下さん。
「縣一家を敵に回すとはななかなかいい度胸をしてるな。一央をどこにやった?」
「……」
「まただんまりか。根岸と伊澤がいたから命拾いしたようなものだろう。その程度の怪我で済んだんだろ?違うか?」
ぷいとそっぽを向く森下さん。
「分かった。お前がその態度ならこっちにも考えがある。根岸」
彼が名前を呼ぶとすぐに根岸さんが姿を現した。
「縣一家は気性が激しく荒くれ者が多いからな。死ぬまで可愛がってもらえ」
「ふざけるのも大概してください。私が何をしたというのですか?」
「しらばっくれんじゃねぇぞ」
凄みのあるドスのきいた低い声が大広間に響き渡った。
「オヤジこんな自分勝手な男、怒鳴るだけ無駄だ」
腕を胸の前で組み目をつり上げて根岸さんが森下さんの前に立った。
「優輝の命を狙っただろが。忘れたとは言わせない」
怒りで声が震えていた。
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