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番外編 橘さん、ナイスアドバイス
「お前さんにも優輝くらいの年頃の子どもがいるんだろ?他人の子どもだから殺してもいいのか、金のなる木だから殺していいのか、違うよな。なんとも思わないのか?良心の呵責ってものがお前さんにはないのか?公安のエスだもんな、どうせ逮捕されることはないと高を括るのもいい加減にしろよ。そんなに世の中甘くねぇぞ」
怒りで煮えたぎる感情を押さえ淡々と言葉を継ぐ根岸さんに若い衆が身を乗り出し羨望の眼差しを向けた。
若いのに任せて口喧しい年寄りは第一線を退く。後進の育成に力を注ぐ。そう宣言し表舞台にはあまり出なくなった根岸さん。ガミガミと若い衆を一方的には注意せず、何が駄目なのか根気よく教えてくれるから若い衆たちはみんな根岸さんを尊敬している。憧れの的だ。
「根岸悠仁の父親は大酒飲みの無法者。ろくでなしの子どもはしょせんろくでなしだ。そう吉田さんから聞いたことがあります」
「根も葉もない真っ赤な嘘を鵜呑みにしていたのか?」
「さぁ~どうでしょうね」
余裕綽々なのか含み笑いをする森下さん。
「ヤクザになった理由は人それぞれだ。大なり小なりみな事情を抱えている。根岸もそうだ。愛する人を守るためにはヤクザになるしか選択肢がなかったんだ。それも分からない癖に適当なことを言ってんじゃねぇぞ」
育ての親である根岸さんを悪く言われ彼の堪忍袋の緒はいまにも切れそうになった。
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